コロナショックで生き残る法人営業組織とは

2020. 05. 04

この危機下で法人営業組織が注視すべき3

リーマンショック以上の経済危機を迎えている中、法人営業組織は売上高成長を目指すのではなく、この危機からの再開時に売上高を回復させて行くことを望まれています。それを可能にするためには、今の変化で注視しておくことが3点あります。

それは、顧客とのギャップ、顧客とのつながり方そして営業活動の適応力です。
With CoronaあるいはAfter Coronaに向けての営業戦略を再考する必要がありますが、そのためにもこの3点に意識して情報を取っておくことが必要です。なぜならばコロナにより変化を余儀なくされた経済活動で、本当に変えるべきことは何か、どのように変えるべきかを検討しておく必要があるからです。

これからこの3点について説明していきます。

販売側と顧客側のギャップを知る

顧客の大きな課題の一つは、この危機が緩和された時に、できる限り短い時間でどの程度までビジネスを再開できるか、ということになります。ビジネス再開のために必要なことは、顧客ごとで同じものもあれば違うものもあります。
再開に向けて顕在化しているリスクについては、顧客側からの問い合わせから把握できます。そして問い合わせの多いものが多くの顧客で重要な課題であることが認識できます。

重要なことは、潜在化しているリスクはないかを意識して確認をとることです。
顧客との関係性が築けている法人営業だからできる強みになります。販売しているものについてプロフェッショナルな知識があり、顧客が認識していない情報も持っているため、有意義な情報や知識を提供することができます。
そしてそのような情報の提供により顧客は新たな気付きを得られて、潜在化しているリスクを感知する可能性があります。こうした活動は、顧客の置かれている深い状況までを把握することができ、追加の情報を提供する活動で顧客との関係性を強くしていくことにもなります。

その上でこの活動により集めた情報は、経済活動の再開時に顧客が解決したい潜在リスクを検知したことになります。
今回のウィルス危機は、今回限りではなく今後も発生しうるリスクと認識しているため、リスクは解決しておきたいと考えることが想定されます。

顧客が今何に困っていて何を提供できれば顧客のためになるのか、それを知ろうとする法人営業組織の活動が再開後に大きな差として現れると思います。

顧客とのつながり方を再考する

法人営業のほとんどがフィールドセールスで構成されています。しかしこの危機下で活動は、電話やメールあるいはオンラインミーティングに置き換えられています。これにより移動という非生産活動が削減され効率が上がることから、インサイドセールスを活用によりアフターコロナ後も引き継ぐ路線を進んでいます。これについて反論はありませんが、検討しておくべきことがあります。

非対面の弊害は何かを知る

対面で営業するということは、アイコンタクトなどを通じて相手の信頼を得やすいということです。確かにオンラインミーティングであれば、対面での商談が可能で信頼を得られると考えられるのも頷けます。しかし重要な局面での商談や複数人を説得しなければいけない場面ではどうでしょうか?

顧客側は、あなたの顔だけしか映っていないかもしれませんが、こちらは分割された画面や会議室を遠方から映された画面になっている可能性が高いです。そして相手は、あなたの顔を見ているのかそれとも映し出された資料を見ているのか、その見分けもつかない状態になります。そのような状況で信頼関係を得るコミュニケーションが取れるのか、取れるようにするためにどのようにすればよいのかを検討し、アフターコロナに備える必要があります。

そして信頼関係を構築するという観点で見ると、効率的なのは面談することだと結論することになると思いますが、その判断だけで結論付けないことが重要です。
大切なことは顧客の立場に立って、対面が良いのか、非対面が良いのかの判断基準を持つことです。そしてその判断基準で考えた方法が、営業活動に不利益を与えないかの検討も併せてしておく必要があります。

詳細な説明を双方向のやり取りで確認したいと考えている場合には、顧客は対面を望んでいるというように、場面での使い分けを検討すべきです。そして使い分けをうまく行うことにより、すべてを対面で行っていた時よりも結果を得られる仕組みを検討しておくことが必要です。その検討をしておかないとツールを利用することが、営業生産性の低下を招くことになります。

オンラインミーティングツールの限界は何か

オンラインミーティングを活用すれば、プレゼンテーションによる提案も行えます。これは非常に便利ですが、アフターコロナ時にどこまで活用できるかをこの機会に検討しておくことも大切です。

オンラインミーティングでのプレゼンで問題になるのは、誰かにピンポイントで訴えかけることができない、ある特定の人に同意を得るためのアクションが取れないということです。

プレゼンのトレーニングで相手の顔を見て話すように、相手から質問を得られる双方向性のために間をとって次のページへ進むなど、様々なテクニックを意識して行っていると思います。この双方向性の限界を見ておくことが大切です。

音声や映像の跡切れは5Gの普及などにより解消されてきますが、インフラの技術革新でカバーできないことは何か、営業が効率的に活用するために必要なスキルは何か、この機会に認識し、効果的な活用法を検証しておくことが必要です。

営業活動の何を変化させるのか

営業にとってこの危機は、経験したことがない新たなチャレンジになっていますが、良い変化をもたらす機会にもなると考えています。

それは無駄な訪問の削減です。顧客に質問をするためだけの訪問や確認のための訪問など、訪問後に持ち帰って再訪問しなければいけない活動がそれなりに発生していたと思います。
しかし今は、すべての営業活動がオンラインを強いられています。これが活動に変化を起こさせることになるので、営業組織内で活動の無駄は何か、それを効率化するための知見の蓄積を実施することです。

経験により行動変化を起こさせる良い機会だと考えます。

顧客への営業活動の適応

今の状況下で適応しなければいけないことは活動のやり方であり、活動量ではありません。電話やメール、オンラインミーティングを活用して顧客とのつながりを継続することが大切です。

そして営業活動の目的を変化させておくことも重要です。
最初のほうでも述べましたが、過度な売り込みを実行するのではなく、顧客を支援する考えや気づきを与える活動が大切になります。この機会に多くの信頼を得たところとそうでないところでは、経済活動が再開された時に大きな差となって表れてくると思います。顧客からの信頼を得られる営業活動を続ける必要があります。
そのためには、管理者層のリーダーシップが重要です。優先すべきことは何か、そのための対応指針の明確化、組織としての在りようを試されていると思います。

そしてこの危機下で顧客関係性を維持あるいは発展させていくために必要だと思われる、、テクノロジーやツールを検討しておくことも必要です。
なぜならば、ベストプラクティスなどの他人事ではなく、自分たちの経験に基づいた潜在化していたニーズからの導入検討になるからです。

本当に営業活動で知りたいことが見えるツールになっているか、この機会に営業の活動とSFAなどのツールの適応力を見ておく良い機会だと思います。

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