経営者が解決したい法人営業課題:第2回 営業プロセス全体の見直し

2020. 05. 26

経営者や営業幹部の2番目に多い課題は、営業プロセス全体の見直しです。

営業プロセスとは、見込み客へコンタクトして商談化し、最終的に成約するまでの一連のプロセスを指します。

以前より営業プロセスについては多くの企業が標準化を進めてきましたが、経営者が考える目的を達成できていないケースが多いということが、アンケートから見えています。

そのため今回は、営業プロセスを構築する多くの目的は何か、その目的が達成できない理由は何故か、目的を達成するためにどのようにすれば良いのかを説明したいと思います。

2回は、営業プロセス全体の見直しについてです。

営業プロセスを作成する5つの目的とは

最初に営業プロセスを構築したい目的を整理しておきたいと思います。

と言いますのもプロセスの見直しをしたい理由は、いくつかの目的を達成するために検討されているからです。

その目的を明確にし、達成するために必要なことは何かを明らかにすることから説明していきたいと思います。

5つの作成目的

  1. 売れる営業のプロセスをフレームワーク化することで個人能力を底上げする
  2. 標準化した営業プロセスで効率化を進める
  3. 見える化しマネジメントすることで、営業プロセスを改善できるようにする
  4. 新入社員や中途採用者向けへの営業教育
  5. 勝ちパターンによる成約数を増やし、業績を上げる

これらの目的のために、営業プロセスを図のように構築をされていることが多いのではないでしょうか。

図1-3

初回訪問から成約までのプロセスを設定し、それぞれのプロセスでの目標とそれを実現するために必要なスキルや知見、そして達成指標としての活動量KPI、このようなものを定義しマネジメントしているのではないかと思います。

経営者が営業プロセスに課題があると判断する理由

構築された営業プロセスを活動量KPIでマネジメントしトラッキングをしていると、達成しているものとしていないものが出てきます。

達成していないものは問題解決を進め、達成率を上げていくように進めていきますが、目標である成約数の結果が営業プロセスによるものかどうかが、判断できないケースが増えてきます。

例えば、大型商談が取れたことによる目標数字の達成、あるいは活動量KPIは達成しているが目標数字が未達。
このような結果が散見されると経営者や営業管理者は、以下のようなことを考えます。

  • 営業プロセスを活用して実行しても、売れる営業と売れない営業の差が縮まらない。
  • ベストプラクティスを活用し標準化を行ったが、売上向上につながらない。
  • それぞれのプロセスでやるべき項目の実施率を計測し、改善に取り組んではいるが、各項目の改善では効果が限定的である。
  • プロセスを標準化することで教育方法は確立できたが、いまだ属人的な方法が行われているように感じる。現場はプロセスの効果をあまり感じていないのではないか。
  • 明らかに営業プロセスを構築したことで成約したと考えられる成約数が少ない。もし営業プロセスに効果があるのであれば、もっと成約できるのではないか。今の営業プロセスの問題か、もしくは何か他に問題があるのかが判断できない。

このように感じることには、理由があります。

営業プロセスの目的が達成されないたった1つの理由

先ほどの図を見てください。

それぞれのプロセスと達成すべき目標、そしてそのために必要なことが明示されています。

例えばヒアリングというプロセスで達成すべき目標とは何でしょうか。
多いのは、顧客の課題を深掘りし真のニーズを把握するとかではないでしょうか。

実は、このプロセスの作成方法が、目的が達成できないたった1つの理由です。

営業プロセスという概念の問題

予算化され顧客内で検討ステップが走り始めます。その時に自社だけではなく、競合にも声がかかり商談が開始されます。

顧客はスケジュールに沿って検討ステップを進めますので、営業プロセスは否応なく進んでいきます。

考えてもみてください、競合が有利な状態でも検討ステップは進んでいきます。営業は営業プロセスに沿って、ベストな活動をしても競合が有利であれば、その商談は敗退します。

ヒアリング時に課題を確認し、提案時に自社が考える課題解決法を説明し、自社が一番であることを理解してもらう、これらを顧客のスケジュール内で進めていき、達成することが営業プロセスの前提になっています。
これは購買に登場する顧客や競合の状態を考慮せずに組み上げられたプロセスとなります。

つまり自社が正しいタイミングで正しいことが行えれば成約できるという考えで作られていることになります。

このように考え作られたプロセスだからこそ、落とし穴が発生してしまうのです。

価格という敗退理由

そして多くの商談で発生しているのが、すべてのプロセスで顧客から評価を得て、顧客予算内で最終価格提示をしたが敗退する、このような結果が起こっています。

そのことを証明しているのが、営業の敗退理由で一番多いのが価格です。

なぜ、敗退理由に価格が多いのでしょうか。
確かに営業の言い訳として、使いやすい理由ではあります。
しかし真の敗退理由を顧客から正確に確認できている営業がほとんどいません。
顧客も細かな説明を避けるために価格と説明しているケースが多いと思います。

このように敗退の真の理由を確認できていない、これが敗退理由として価格が多い理由となります。

経営者や営業管理者が考える事

そして多くの敗退理由が価格という結果より経営層からは、理由は十分な価値訴求ができていない営業プロセスにあり、訴求できるプロセスに改善する必要がある、
しかし改善しても敗退が止まらない、そうすると営業組織は仕事をしているのかなど、活動量を問題視する発言が出てきてしまうのです。

目的を達成するための営業プロセス

では、どのようにすれば解決できるのでしょうか?

それは、顧客の購買プロセスをコントロールする営業プロセスを構築することです。

先ほど競合が有利でも購買プロセスが進んでいくと説明しました。

自社の持っている経営資源や顧客との関係性などを見たときに、スタート時に競合より全てで有利である商談などほとんどないと思います。

だからこそ競合に比較して有利不利に関わらず成約できるようにする、顧客の購買プロセスを自社が有利に検討されるようにコントロールできる、そのような戦略を作ることが必要になるのです。

従来の営業プロセスは、顧客の検討プロセスに営業が何をすべきか、その時に何をする必要があるのかを示したものになっています。

それでは顧客が自社商品を購買してもらうためには、プロセスによるものではなく、営業個人のスキルによるものになるのではないでしょうか。

営業プロセスとは購買プロセスをコントロールする事

弊社が考える営業プロセスとは、購買プロセスをコントロールするためのプロセスです。

「成約というゴールを達成するために顧客にどのように動いてもらう必要があるのか、顧客が動かなかった場合にどのようにして動かし成約に持っていくのか」、これらをそれぞれのプロセスで落とし込みを行います。

そしてそれぞれのプロセスには、顧客も競合も登場します。
彼らの動きをコントロールできなければ、プロセスをコントロールすることなど不可能です。
そしてコントロールをできるようにするためには、戦略が必要となります。

営業プロセスとは戦略の実行プロセス

本来の営業プロセスとは、商談を成約するための購買プロセスコントロール手順となります

やるべきことを明確するのではなく、購買をコントロールするために達成すべきことを明確にすることが必要です。
そして重要なことは、達成すべきことを確率高く達成するために必要なことは何かを定義し、それを実行するための方法を戦略の中に明確に示されていることが必要です。
これらが示されてなければ、ただ単なる理想や評論となってしまいます。

これは今までの営業プロセスと全く違うものになります。

なぜならば見込み客とのコンタクトから購買プロセスをコントロールするために達成すべきことは何かを設定し、それが達成できなかった場合はどのようにしてリカバリーするのか、こうしたことがすべてのプロセスで定義され、営業活動を進めていくことになるからです。

そして確かにこのように進められれば必ず成約できると営業一人一人が腹落ちしたプロセスとなり、腹落ちしたことで邁進するパワーが組織で作られていきます。

このような営業プロセスを作るためには、購買プロセスをコントロールするための戦略を作ることが必要があり、その戦略を実行する手順が営業プロセスとなるのです。

もう一度言います、購買プロセスを自社が有利に進められるようにコントロールする、そのための戦略を作る、そしてその戦略の実行手順が本来の営業プロセスです。

真の営業プロセスで変わること

まず目的が明確になります。

目的が明確になるとは、従来のプロセス時にやるべきことが設定されているのではなく、達成すべき目的が明確になり、その目的を達成するためにやるべきことが明示されている、プロセスに改善されます

明確になるとは、達成すべきことが抽象的でなくなり、それができていなければ次のプロセスに進んでも成約できない、つまり顧客の購買プロセスは進んでいるが自社の成約に向けたプロセスは進んでいないことを明確にするということです。

これが明確になるということは、例えばヒアリングというプロセスで達成すべき目標が明確になっています。
そして営業は、その目標を達成するために活動を行います。
それにより達成できれば次へ進みますが未達の場合、違うアプローチを実行したり、上司や同僚からアドバイスをもらい達成に向けて活動をします。

このように目標が明確になることで、自らが実行できる組織に変わっていきます

このような組織を弊社は強い営業組織と言っています。

まとめ

この購買プロセスコントロールという考え方は、USの営業理論では一般的であり、日本の営業理論との大きな違いでもあります。

コントロールというと聞こえは悪いですが、決して相手をだまして成約することではなく、成約するためには必要なことであり、競合に勝つための論理的な手法になります。

成約とは双方が満足して契約するための交渉により成り立ちます。
それは双方が満足する成約にするために、受け入れられるポイントを探ります。
そしてこれは競合も同じです。顧客が受け入れられるポイントに近いのが自社か、それとも競合かで成約先が確定するのです。

その受け入れられるポイントが顧客ごとで違う、違うが達成すべき目標が同じであるからこそ、標準化された購買プロセスをコントロールしていく手順が必要になるのです。

顧客の望むソリューションを望む価格で提供できれば、営業がいなくても契約は成立します。

しかし自分たちが望む契約内容で競合に打ち勝ち成約するためには、そこに持っていくための戦略が必要であり、実行するためのプロセスを作る必要があります。

もう少し詳細にお聞きになりたい場合は、遠慮なく無料相談にて連絡いただければと思います。

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