第5回は営業マン個人のスキル向上です。
経営者の課題の5番目にこの項目が来ているということは、できる営業とできない営業の差が大きく、その原因の一つがスキルの問題であると考えていることが判ります。
できる営業とできない営業の差は、目標達成率です。
では目標達成率を左右するスキルとは何でしょうか?
多分、商談を成約する力であり、大きな商談を成約する力があるほど目標達成に近づくスキルになるのでしょう。
ではそのようなスキルを身につけるためにはどうすればよいか、考えてみたいと思います。
営業で必要とされるスキル
できる営業になるために必要とされるスキル、営業に必要とされるスキルは、非常に多くあります。
並べてみると
課題発見能力
ヒアリング能力
ロジカルシンキング能力
情報収集能力
対人コミュニケーション能力
プレゼンテーション能力
論点を絞る能力
数理的能力
人脈構築能力
行動能力
トラブル対応能力
調整能力
交渉能力
まだまだ並べることができますが、このように並べられると何から手を付けるべきか、どのスキルを重視して取り組むべきか、わからなくなりませんか?
20年前の営業が注力していたこと
20年前、接待営業が全盛でした。
当時はまだ私は管理職ではありませんでしたが年度初めのキックオフで営業管理職が、今期も達成するために接待をしまくるぞと発表していたことを思い出します。
接待でビジネスをとることは今では決して推奨されるものではありませんが、当時は当たり前のように行われ、その目的は影響力のある人と親密になることでした。
親密になることにより情報を得て、自社が有利になるようにネゴシエーションをしたり、競合が提示している情報を入手し、知りえた情報によりカウンターを打つなど、今の顧客の状況を掴むための手段に接待を活用していました。
このことが意味していることは、できるだけ多くの情報を得たものが成約を有利に進められたということです。
そして情報を得ることを簡単にするために接待という手段を利用していたのです。
手段は褒められたものではありませんが学ぶべきことは、目的を達成するために必要なことは何かを純粋に考え、誰もができる方法は何か、それを考え実行していたのが接待だったということです。
現代に必要とされるスキルとは
商談に関わる情報を収集し活用することは、営業にとっては重要なスキルです。
しかしそのスキルだけでは、複雑化した購買プロセスで有利に進めていくことができないのが現代です。
あなたが自社の課題解決能力などを会って話したい人は、どのような人でしょうか?
現状に満足することなく会社を変えたいと思う人、良いと思ったことを実行できる行動力のある人、新しいことにチャレンジすることに躊躇せずにできる人、意思決定に影響力があり周りを説得できる人、お金を出せる人など、成約を左右できる人ではないでしょうか。
どんな商談でもその商談を左右できる人がいます。
その人がイエスと言えば決まり、ノーと言えば決まらない、その人を見つけ、その人と関係を築ける能力が、現代の営業に求められる能力であると思います。
私はその人のことを「チャンピオン」と呼んでいます。
この能力がどれほどすごいかというと、仮にチャンピオンを競合が攻略したとします。
チャンピオンの腹の中では、競合に決めています。
あなたはどう戦いますか?
チャンピオンに会い、新たな価値を提供して考えを覆す?
可能性はあると思いますが、そのようなコンタクトがあったことをチャンピオンは競合に話し、気づきがあればその内容を盛り込んだ再提案を依頼されることになるでしょう。
チャンピオンは決して提案内容だけを評価して企業を選択しているわけではなく、彼が得たいと考えること全てを提供してくれる取引先を選択します。
そしてその中には、この取引をスムーズに進めるための協力やアドバイスを得られるかも見ています。
なぜならばチャンピオンは、自社ビジネスについての知識は豊富ですが、購買における承認者全員を説得するための情報や反論への対応方法については知識を持っていないため、それに対応できる材料を必要としています。
そしてその購買によりビジネスへの貢献を早期に実現したいために購買を順調に進められることを望んでいます。
そのため購買を順調に進めるための自分のブレーンであり、パートナーになれる取引先を選択します。
このように考え動いてくれるチャンピオンと関係を構築できれば、購買をコントロールすることが可能となるのです。
求められる能力はチャンピオンと関係性を構築する、あるいはポテンシャルチャンピオンをチャンピオンに育成できる能力になります。
チャンピオン獲得に必要なスキルとは
チャンピオンと関係を構築するために必要なスキルは、
- チャンピオンを見極める力
- チャンピオンのビジネス上の興味を把握し、その情報を提供できる知識
- チャンピオンの個人ゴール、恐れを把握し、協力できる能力
- 2,3から想定できるビジネスコンセプトを考え、提案できる能力
真に影響力を持っている人は誰かを見極める能力が必要となります。
役職が高い、声が大きいなどで判断していては見誤ります。
実際、いつも役員が商談に同席していたケースでも、その下の部長がチャンピオンであったということが多々あります。
そのため見極めるための質問スキルや商談への立ち位置の確認、社内の評価などから総合判断する必要があります。
チャンピオンを商談で持つためには、ポテンシャルチャンピオンを見つけチャンピオンに育成する必要があります。
ポテンシャルチャンピオンを育成するためには、その人のビジネス上の関心事を知ることから始めます。
それを知るためには、ポジションから想定する関心事の仮説と確認のための質問力が必要です。
次に知るべきことは、個人的に優先するゴールと恐れです。
誰かに認められたい、出世欲が高い、ビジネスでの貢献を優先する、安定的ビジネスを好む、トラブルを回避したいなど、個人的に優先するものがあります。
それが何かを確認、想像して適切な提案を行います。
個人ゴールは、チャンピオンが取引先を選択する際に潜在化した判断基準となります。
提案も価格も良い、しかし何故かキーマンから反論される。
これはキーマンの個人的恐れに触れている、例えばプロジェクト失敗による損害が大きいためそのリスクを負いたくない、そのような感情が判断に入ります。
私自身も何度も経験したことがあります。
このような個人ゴールを知るためには、先ほどと同じような確認方法ではできません。
ポテンシャルチャンピオンの言動を注意深く聞き、どういう質問や確認が多いのか、こちらの説明に興味を示すこと示さないことは何かを把握し、見極めていく必要があります。
最後に、把握したものを活用してポテンシャルチャンピオンが重視すべきコンセプトの創造とチャンピオン化するための、一連の戦略実行能力になります。
見込み客を育成するようにチャンピオンも育成する必要があります。
取引先の信用度、供給体制能力、トラブル時の対応能力といった基本的なものから組織文化や企業理念を含め、本当に付き合える企業かを見極め、その上でコンセプトやソリューションの評価へ手順を踏みます。
そして重要なのは、この取引先となら購買を進められ、導入後も付き合い続けられるかを見極めてくることです。その見極めは、役職が高ければ高いほどパートナーとして歩める担当者かそして企業かを見てきます。
顧客のビジネスのためにとチャンピオンの成功のためにを常に考え、粘り強く攻略する資質、それが営業には必要となります。
今後なぜ、チャンピオン育成能力が重要なのか?
新型コロナウィルスの影響により、法人営業もリモートセールスが通常となる時代に入りつつあります。
すべての営業プロセスがリモートになるとは想像できませんが、多くの部分がリモートに置き換わっていくことは間違いありません。
リモートが通常になることは、多くの購買関係者の同意を得る必要がある法人営業活動は難しくなることが予想されます。
なぜならばリモートによる顧客との関係構築は難しくなることが予想されるからです。
その状況を打破できるのがチャンピオンの育成です。
従来までは、顧客先に行き面談が終わってもしばらく滞在し、すれ違う人や呼び出しなどをして、色々な人とコミュニケーションをとることで名前を覚えられ、関係性を築くことができていたと思います。
これが訪問によるメリットです。
それがリモートに置き換わるとすべてがスケジュールされた人としか、コンタクトができなくなります。
訪問できなくなることでちょっとした挨拶など無駄と思われた活動が意味ある活動であったと、リモートセールスだけになると感じられることと思います。
チャンピオンを探し育成するためには、多くの人とのコミュニケーションが必要となり、リモートセールス主体の環境でどのようにして育成できるようにするか、そのための戦略を作ることが必要となります。
そしてその戦略を作り実行できた法人営業組織は、競合より二歩も三歩も先に行くことができるでしょう。
まとめ
リモートセールスという慣れない環境での活動で成果を出すためには、益々、達成目標を意識した活動が必要になります。
従来までと違い会いたい人と会うためには、相手が望む目的で会い、その人と関係性を築くための戦略が必要になってきます。
そしてその中でもポテンシャルチャンピオンと会い、チャンピオンへの育成と関係性構築を戦略的に活動しているかで、できる営業とできない営業の差を大きくしていくものと思います。
ポテンシャルチャンピオンを見つけ、チャンピオン化する能力、営業力を左右する重要なスキルだと考えます。
このようなスキルを見つけさせるためにはどうすればよいのか、も少し詳しくお聞きになりたい場合は、無料相談まで連絡いただければと思います。